結露を詳しく知ろう

 4.水蒸気の性質
 空気中に含まれる水蒸気はじっとしているわけではありません。水蒸気の量が少ない空気の方へ動き続けます。部屋が二つ並んでいてAの部屋の水蒸気の量が20g、Bの部屋の水蒸気の量が10gだったとすると、水蒸気はAの部屋からBの部屋へ流れます。「ふすまなどの仕切りがあった場合は流れないでしょ」とお思いになるかもしれませんが、水蒸気は非常に小さい物質であるため通過してしまいます。実はこの性質が家屋の結露対策を難しくしています。

 注意:水蒸気は湿度が高い方から低い方へ流れるのではなく、水蒸気の量が多い方から少ない方へ流れる。
水蒸気の流れ

透湿抵抗とは物体の水蒸気の通しやすさのことで透湿抵抗100で水蒸気を通さない。
金属や窓、0.1mm以上のビニール、分厚いコンクリートは水蒸気を通さない。


 5.結露発生の基本
 結露発生の基本は「水蒸気の量が多くて温度が低い」です。もし結露を見かけたらこのことを考えると分かりやすいです。夏のコップにつく結露は、水蒸気の量が多いところに冷たいコップがあるためですし、自動車の窓が曇るのは室内の水蒸気の量が多く、車の窓が冷たいからです。

 ここまでの内容が理解していただければ、ほぼ結露に関しては十分対応できます。結露の本を読んでみると表面結露とか内部結露、逆転結露などの言葉が出てきますが、それらは結果であって、発生の原因は今までの内容で十分説明することができます。

 一応、表面結露と内部結露、逆転結露についてご説明しておきます。


 6.表面結露と内部結露
 表面結露とは夏のコップに付く水滴、冬の窓に付く水滴などのことをいいます。要は目に見える結露のことです。それに対して、目に見えていないところで発生する結露を内部結露といいます。家屋の壁の中や窓と窓の間、材料と材料の間などの内部で発生する結露です。
 表面結露は発生の原因は簡単で想像しやすいですが、内部結露は目に見えにくいため想像しがたいです。でもそんなに難しくありません。

 家屋の壁の材料を想像してみましょう。仮に居室側から壁紙→木材→金属(サイディングなど)という順序で並んでいたとします。冬、石油ファンヒーターで室内を暖めたとすると水蒸気が発生します。部屋の中は温かいし、壁紙もそれに伴なって温かくなっているので結露は発生しません。しかし、日本の冬は寒いです。家屋の外側の金属は冷たくなっています。さらに冬はからっとしてますので水蒸気の量が少ないです。水蒸気の性質は多い方から少ない方へですから部屋の中の水蒸気は外へ出ようとします。壁紙、木材を通過した水蒸気は冷たく水蒸気を通さない金属に触れることになります。もうおわかりですね。この金属に水蒸気が触れたとき、結露が発生します。これが内部結露です。発生の原因なんて実は夏のコップに付く水滴となんら変わりはありません。


内部結露の様子


 7.逆転結露
 逆転結露という言葉がおかしいような気もしますが、通常と結露の発生する場所が変わるときに使われます。冬に窓に付く水滴は普通の結露です。結露は部屋の中側の表面につきますが、これが何らかの原因で部屋の外側の窓に付いたとします。これが逆転結露です。どっちを通常とするかで逆転結露が変わりますが、その辺は常識的に判断しましょう。

 夏の雨上がり、車を運転していると車内側の窓が曇るときがあります。これは外気温が急激に下がり、ガラスが冷やされ、車内の水蒸気が触れることで発生していますが、これは普通の結露です。ガラスの曇りを取ろうとエアコンをかけたとします。そうすると車内の窓の曇りはあっというまにとれます。暑いのでエアコンをそのままかけっぱなしにしておくと再び曇ってくるときがあります。今度は車内側ではなく、車の外側のガラスに水滴(くもり)がつき始めます。それをとるために今度はワイパーを使用することになりますが、これこそ逆転結露です。車のガラスはエアコンによって冷やされています。外は雨上がりなので水蒸気は大量に発生しています。その水蒸気がエアコンによって冷やされたガラスに触れることで結露が発生します。これを防ぐにはエアコンの風を窓に直接当てないようにすることです。






エアコンによって車内の曇りがとれるのは、室内の水蒸気を排出したためです。他の方法として車の暖房をかけてガラスを暖めるという方法もありますが、夏に暖房はちょっと厳しいです。冬はこの方法のほうがいいです。よく車の後方のガラスに電熱線が入っていますが、あれは窓を暖めることでくもりをとります。

結露のページ目次

結露は面白い


1.結露は面白い
2.結露発生のメカニズム
3.温度と湿度と水蒸気

結露を詳しく知ろう

4.水蒸気の性質
5.結露発生の基本
6.表面結露と内部結露
7.逆転結露

結露発生要因
水蒸気の発生源と温度変化


8.水蒸気の発生源と対策
9.温度の変化と対策

結露発生場所
各個撃破


10.窓の結露を止める
11.押入れの結露を止める
12.棚の後ろの結露を止める
13.土間床の結露を止める

内部結露について

14.内部結露は難しい
15.見えない結露をイメージする
16.内部結露対策
17.内部結露対策2
18.とりあえず内部結露まとめ
結露とシロアリ


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