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[19] 役立つ住宅情報:ハウジング・ミニ情報 「超長期住宅」の国家モデル−−トステム  毎日新聞 2009年2月5日
[18] バイオ燃料:新潮流 環境破壊を教訓に  毎日新聞 2009年2月2日
[17] シロアリ界の「ハゲタカ」が日本を襲う J-CAST テレビウォッチ 2009/1/20
[16] シロアリ・腐朽菌で劣化 木造家屋地震損壊拡大 京大研究者が確認 (京都新聞  09年1月19日)
[15] フェロモンの正体解明 殺虫剤入れにせ卵で駆除 (毎日新聞  07年08月29日)
[14] テラピアから殺虫剤 本島内シロアリ駆除で残留 (琉球新報  07年7月8日10時38分)
[13] 特定商取引法の罰則規定を大幅強化 悪質、後絶たず (FujiSankei Business i. 07年6月4日)
[12] シロアリに強風で電柱倒れる 乗用車直撃 愛知・東海市(asahi.com 07年02月15日21時11分)
[11] 環境省 報道発表 「自治体における街路樹、公園緑地等での防除実態調査」の結果について (環境省報道発表資料 2007/01/31)
[10] セルロース活用始まる(日本経済新聞2007/02/02)


[19] 役立つ住宅情報:ハウジング・ミニ情報 「超長期住宅」の国家モデル−−トステム  毎日新聞 2009年2月5日
 トステムが提案した「自然採暖採涼設計の家」が、国土交通省の超長期住宅先導的モデル事業に採択された。自然採暖採涼設計の家は、トステム独自の断熱・高気密・高耐震木造軸組み・枠組み工法「スーパーウォール工法」などを採用。心地よい自然の風を室内に取り込むなど自然のエネルギーを活用した「自立循環型住宅設計」や、住宅メンテナンス時のシロアリ対策の再施工に向けた取り組みなどが高く評価された。自然採暖採涼設計の家は08年度中に1棟、09年度中に2棟が着工となる予定だ。
[19] コメント  2009/2/7 
 国交省の施策で「超長期住宅計画」というのがあります。家屋の寿命を200年(だったかな)にするというものです。現在は30年くらいでしょうか。寿命を延ばして木材に含まれる炭素の固定化を図り、二酸化炭素の排出量を減らすのが目的かと思います。要は省エネ、エコ活動です。
 個人的にはこの計画に大賛成でした。家屋の寿命がそれだけ長ければ、各世代で相当な出費を減らすことが出来るはずですし、新しく作る必要もなくなります。しかし、現在の家屋の構造や家屋に対する考え方ではうまくいかないだろうという気がしています。200年もたせるためには作って終わりでなく、メンテナンスが必ず必要です。東大寺など日本の古い建築物が残っているのは定期的にメンテナンスをおこなっているからです。しかし、現在の家屋の構造はメンテナンスがし難く、家と家の間が近過ぎて思うような作業ができなかったり、家屋のメンテナンスに費用をかけるという考え方もあまりありません。
 この計画が発表されたときは、日本の伝統建築を振り返ることになるんだろうと思っていたんですがそうではなさそうです。なんででしょうか。日本には200年くらいもっている伝統建築物は五万とあると思うんですが。
 それから昔の大工さんみたいな方もいないとダメだと思います。地域を知り尽くした地元の大工さんです。本来家屋はその土地の風土、風俗、風紀に法るものであり(法るから無理がなく長持ちする)、それを知っているのは地元の大工さんです。北海道と沖縄では構造が違って当たり前です。さらにいえば、家を建てる場所すらも日当たりの良し悪し、風通しの良し悪しなど環境はまちまちです。地元の大工さんはそういったことすらも知っていますから、家を建てる時にはひさしの長さを考えたり、欄間を長くしたり、雨戸を設けたりとその場所にあった家の構造を考えてくれました。この記事には「自然の風を利用」とか書いてますけど、風通しが悪い場所や家同士が近い場所などでもだいじょうぶなんでしょうか?さらにいえば、昔の大工さんはその家に住む家族構成すらも知っていて、若い人が家を建てようと相談すると「これから結婚して子育てにお金がかかるんだから家は建てちゃいかん!」としかったりしたそうです。建築の専門用語でいうとこれらはすべて「建築計画」という分野にあてはまります。
 昔に戻ろうと言いたいわけではありませんが「温故知新」という言葉もありますので、少し歴史を勉強して今後の技術に生かしていくといいと思います。
ところで、この記事にある「住宅メンテナンス時のシロアリ対策の再施工に向けた取り組み」ってなんでしょうか・・・。5年ごとに薬剤をたっぷり撒くんでしょうか?

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[18] バイオ燃料:新潮流 環境破壊を教訓に  毎日新聞 2009年2月2日
[ニュース概要]
 地球温暖化防止にも貢献する次世代燃料の原料として、生物由来の資源(バイオマス)が注目されている。世界で起きたバイオマス燃料(バイオ燃料)ブームは、原料のサトウキビやトウモロコシ価格を引き上げ、それらの栽培面積を拡大するため環境破壊を招いた。これを教訓に間伐材や稲わらをシロアリの消化酵素で分解したり、目に見えないほど小さな藻類に石油を作らせる研究が進んでいる。
 ◆シロアリに着目
 顕微鏡をのぞくと、無数の微生物がさかんに動き回っていた。理化学研究所分子情報生命科学特別研究ユニット(横浜市鶴見区)の守屋繁春ユニットリーダーは、シロアリの腸内にすむこの生物を研究している。シロアリが食べた木を分解する単細胞の原生生物で、これを利用して木からバイオ燃料を作るのだ。
 木などの植物は、セルロースでできた繊維質の細胞壁を持つ。セルロースをくるんでいるリグニンは分解しづらく、木から燃料を作る際には「前処理」として希硫酸を入れて加熱しなければならない。ところがシロアリは難なく消化する。
 シロアリの腸内にすむ多種多様な原生生物は、パラバサリアとオキシモナスの2種類に分類されるが、人工培養で増やすことができない。守屋さんらは、これらがDNAからたんぱく質を作る際に「型紙」として働くメッセンジャーRNAをまとめて取り出し、消化に働く未知の酵素を特定した。
 ◆省エネ、高効率
 理研、東京大、農業生物資源研究所、琉球大による共同プロジェクトが進む。農生研・琉球大チームは、宿主のシロアリそのものを調べ、東大のチームは麹(こうじ)菌に酵素を大量に生産させる技術を開発中だ。3年後までに、酵素を使って試験管の中で繊維を分解する段階にもっていくのが目標だ。
 手法を確立できれば、前処理も廃液処理も不要になる。間伐材などが使えるため、食料との競合を避けられる。獲得エネルギーを投入エネルギーで割った「エネルギー収支」でみても、サトウキビの最大2・7倍の高い効率が期待できるという。
 ◆石油を作る藻類
 筑波大学(茨城県つくば市)では、石油を生み出す微細藻類「ボトリオコッカス」の培養実験が進む。ボトリオコッカスは温帯から熱帯の淡水に最大0・5ミリ程度のコロニー(群れ)を作って生息し、光合成で石油成分の炭化水素を合成する。
 渡辺信教授(構造生物科学)は、ボトリオコッカスが作る油を1ヘクタールあたり年間118トンと見積もっている。トウモロコシの0・2トン、菜種の1・2トン、油ヤシの6トンに比べ格段に多い。
 渡辺さんらは全国で集めた144株のうち生産効率が高い沖縄の株を選んだ。生産ラインに乗せると仮定すると、1リットル155円かかり高すぎるため、効率を10倍に上げる必要がある。家庭や工場から出るアルカリ性の廃水中で生産性が上がることも分かった。二酸化炭素を吸収するだけでなく、廃水を浄化し油も作ってくれるというわけだ。
 昨秋から科学技術振興機構の支援で総額3億5000万円のプロジェクトが始まった。「廃水処理を兼ねた小型プラントを火力発電所や下水処理場などに作るほか、耕作放棄地を活用すれば大量生産も可能」と渡辺さんは意気込む。
 ◆バイオマス戦略−−コスト面に課題
 政府の「バイオマス・ニッポン総合戦略」(06年3月に閣議決定)はバイオマスを「再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」と定義。2030年に日本がバイオマスを活用した社会になることを目指し、生ごみの堆肥(たいひ)化や、植物を発酵させてバイオ燃料を作ることなどを提案している。
 バイオ燃料も燃やせば二酸化炭素が発生する。しかし、原料の植物は光合成を通して空気中の二酸化炭素を吸収しており、地球上の二酸化炭素量は増えないと見なされるため、地球温暖化防止に有効と考えられている。
 トウモロコシなどに続く「第2世代」の原料として注目されるのが、間伐材や農作物の食べられない部分だ。農林水産省の07年の統計によると、稲わらなどの農作物非食用部は1400万トン発生しているが7割が利用されていない。森林から出る不要木材は350万トンで、わずか2%が製紙などに利用されているだけだ。
 しかしバイオマスは広く分布するため、効率的に集める工夫が必要だ。投入するエネルギーが、得られるエネルギーに比べて大きく、コスト面の課題もある。
[18] コメント  2009/2/2 
 シロアリのニュースと言うと悪い話題が多くなりがちですが、こういうニュースも半分くらいはあるといいです。
 シロアリはセルロースという物質を糖に変えて栄養にしています。セルロースは生物の細胞壁に多く含まれますが、ほとんどの生き物はセルロースを分解することが出来ないため栄養にはできません。そういう生き物は(人も含む)主に細胞壁内のいわゆる原形質を栄養にします。当サイトに詳しく紹介したページがあります。「なぜ家を食べるのか
 原形質は生物が生きているうちは多くの栄養を含みますが、死んで時間が経つとほとんどなくなります。よく冬場に鹿などがエサがないために木の皮を食べたりしますが、皮には原形質が多少含まれますから少しは栄養になります。枯れ木の皮を食べないのはそれがほとんど無いので栄養にならないからです。
 シロアリのすごいところはここにあります。誰もがエサにできないものをエサにできてしまうんです。さらにそれを糞やらなんやらで地球に還元しています。
ということで、シロアリを利用して廃材などを分解してもらおうという試みがおこなわれたと聞いたことがあります。一見うまくいきそうですが失敗に終わったそうです。確かにシロアリは廃材でも何でも分解できますが、彼らには彼らの時間的尺度であって、人の尺度には到底合わないのです。要はかなり分解が遅いということです。
 シロアリが誕生してから3億年とか言われていますが、人が誕生したのは彼らからすればごく最近の話です。人はせいぜい2,30年先、良くて100年先を見越しているでしょうが、シロアリは千年先、一万年先あるいはもっと先を見ているのであって到底あうことはありません。
 ニュースのような技術の進歩向上は祈念していますが、問題、課題が出るとすればこの時間的尺度の違いから出てくると思われます。

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[17] シロアリ界の「ハゲタカ」が日本を襲う J-CAST テレビウォッチ 2009/1/20
[ニュース概要]
 その名を「アメリカ カンザイ シロアリ」という。カンザイは乾材の意。アメリカから入ってきたシロアリである。この外来種がもたらす深刻な住宅被害が今夜のテーマ。スタジオゲストの吉村剛・京都大学生存圏研究所准教授によると、現在の被害は、明らかになっただけで全国88か所、1万件に及ぶ。

費用は800万円以上
日本で最初に見つかったのは1976年、東京・江戸川区で、輸入木材から発見された。その後、神戸、横須賀、川崎などアメリカからの輸入物を扱う海岸地帯を中心に広がり、ここにきて全国的に勢力範囲を拡大、被害の訴えも増えているという。33年もかかって被害が顕在化した理由について、吉村准教授は、以下の3つをあげる。

(1)日本にもともと生息しているヤマトシロアリに比べて集団が小さく(ヤマト=数万匹、アメリカ=数百匹)、エサ(木)を食べる量も少ない(ヤマトの3分の1〜5分の1)。そのため、被害の進行が遅い
(2)最近の住宅が温かく快適になってきて1年中、エサを食べられる
(3) 海外の木材製品がたくさん日本に入ってくるようになった
ちなみに、ヤマトシロアリは湿った場所でしか生きられず、床下周辺に巣をつくるだけだが、アメリカカンザイシロアリは乾燥していればどこにでも巣をつくる。天井、梁、柱、窓枠、家具と、あらゆる所に出没する。8年間に渡って、家のあちこちを食い荒され、その都度、駆除を繰り返してきた女性は「いつまでたってもという感じで、がっかりしてしまう」と力を落す。女性が掛けた費用は800万円以上だという。

「天災みたいなものだから、行政が…」
日本の駆除法は対処的だが、『アメリカカンザイシロアリの本家』で高温、低湿度のカリフォルニア州では大仕掛けだ。「燻蒸」という方法で、家を丸ごとテントで覆って家中に殺虫ガスを送り込む。駆除業者はガスマスクを着け、食品は汚染しないように全て特殊なナイロン製の袋に入れる。24時間、ガスで燻すとシロアリは1匹残らず駆除できるそうだ。それでも「9年か10年たったら、また闘わなければならない」と家主は話す。

日本でも「燻蒸」をやればと思うが、家が密集していて安全が確保しにくい、費用が50〜100万円かかる、処理する側のキャパシティも低い、などがあって、ムリらしい。ではどうするか? 地域ぐるみの早期発見、早期駆除が大事だが、住民がまとまって取り組む状況にはない、と番組は伝える。

吉村准教授は、「地域全体で駆除するために、住民が高い意識を持つ必要がある」としたうえで、「外来種は天災みたいなものだから、行政が責任を持って受けとめ、駆除につとめなければならない」と語る。しかし、お役所は、「行政上の位置づけが明確になっていない。積極的な何かをして行くことが難しい」(保健所)と、あまり期待できそうもない。1度とりつかれたら諦めるしかないのかと、重い気分にさせられた夜だった。

[17] コメント  2009-1-28 
アメリカカンザイシロアリが日本で最初に見つかってから33年、33年間時間があって外来種は天災だから行政が何とかしろとか諦めるしかないということがまとめというのはちょっと悲しいです。日本には日本シロアリ対策協会という50年の歴史を誇る団体があり、現在のシロアリ防除のマニュアルを作成してます。しかしながら、現在のマニュアルはイエシロアリ、ヤマトシロアリに対するものでアメリカカンザイシロアリに対するマニュアルはありません。生態が大きく異なるため同じような防除方法では対応出来ないからです。であれば別な防除方法を作ったらいいとみなさんは考えると思いますが、今までマニュアル通りにしか対応していなかったツケがここに出てしまいました。シロアリ駆除の技術が進歩しなかったのです。仕様書通りにしかやらず、自ら考えることを怠ったため、ちょっと変わった状況になると対応できなくなってしまったのです。マニュアルとはこんなものです。
 手前味噌ですが私が賛同するシロアリフォーラムではアメリカカンザイシロアリの対策を積極的におこなっています。フォーラムでは情報交換はもとより、実際の現場見学、自然界でのカンザイシロアリの観察などおこなって切磋琢磨しています。たとえ今はカンザイシロアリの被害があまり多くない状況であっても(おそらくシロアリの種類別の被害率は98%くらいはヤマトシロアリとイエシロアリによるもので、アメリカカンザイシロアリによるものは1,2%です)シロアリ屋として知識を蓄え技術を磨いて準備しておくことは必要なことだと考えています。
 アメリカカンザイシロアリの場合、この記事にありますが被害の進行が遅いという一つの特徴があります。さらに、集団が超分散型です。日本の駆除は対処的だが・・・とありますが、被害の進行が遅く、超分散型であれば一度で駆除しようとせず対処的に対応することがベターと思われます。アメリカ的な考えだと家屋内の邪魔者はすべて許さんということで家全体を覆うくんじょう処理ということにいきつきます。ちなみにくんじょう処理には予防効果はありませんのでその家でシロアリが駆除できたとしても近所にいればまたやってきます。

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[16] シロアリ・腐朽菌で劣化 木造家屋地震損壊拡大 京大研究者が確認 (京都新聞  09年1月19日)
[ニュース概要]
 地震による木造建築物の損壊の危険性を高める要因の一つとして、シロアリや木材腐朽菌による部材の劣化が注目されている。2007年7月の新潟県中越沖地震でも、京都大の研究者が調べた損壊家屋の多くで生物による劣化が認められた。居住者自らが建物を点検することが家屋を守るために必要という。
 木造家屋の部材への生物劣化は、阪神大震災で損壊した家屋でもあった。損壊には構造的な強度不足などさまざまな要因があり、生物による劣化でどの程度損壊の危険が高まるかが研究課題になっている。
 京大生存圏研究所の森拓郎助教(木質構造学)は、07年3月にあった石川県能登半島地震の調査で、損壊家屋の多くにシロアリの食害や腐朽菌による柱や土台の劣化を認めた。このため、同年の中越沖地震で、農学研究科の簗瀬佳之助教(林産加工学)と生物劣化に着目した現地調査を行った。
 震度6強で被害が大きかった新潟県柏崎市と刈羽村で損壊のひどい約40棟の建物を調べたところ、柏崎市内の家屋のほとんどで腐朽があり、約7割でシロアリの食害を発見した。損壊との関係は不明だが、接合部の「ほぞ」がシロアリに食い尽くされるなど、損壊の要因となった可能性が高い家屋もあった。
 ■「自己点検で発見を」 
 京都や滋賀にいるのは食害の進行が比較的遅いヤマトシロアリで、早期に発見すれば対策は立てられるが、「羽アリが飛ぶようになったら危ないので、早急に対処しないといけない」と森助教はアドバイスする。「シロアリや腐朽菌の被害は、床下やトイレ、台所、風呂などの水回り、雨漏りの場所で危険性が高い。活性化する5月以降に自分で調べれば見つけることができる」という。シロアリ駆除の業者とのトラブルも報告されていることから「まず自分で点検してほしい」と話している。
[16] コメント  2009-1-20 
 地震で被災された方々へお見舞いを申し上げると共に早期の復興を祈念いたします。
大きな地震があるとこういった家屋の倒壊調査はよくおこなわれます。シロアリなどの被害がどの程度影響するのか調べることが目的と思われますが、いつも私が感じることは倒壊した家屋の築年数や地盤、建物の構造など一軒一軒違うはずなので、一概にシロアリの被害にあうと倒壊するとは言えないと思います。もちろん、ある程度の相関はでてくると思いますが、参考程度です。こういう記事は悪徳シロアリ業者が喜んで営業に使うことでしょう。
 最近の家屋は筋交いなどが考慮されて配筋されるため、古い法律で建てられた家屋よりも耐震性は高くなります。また、古い家屋はそれだけ年数が経っていますからシロアリや腐朽菌に侵食されている可能性は高くなっていますし、最近の基礎はべた基礎なのでシロアリの被害にあいにくい構造です。ですから、いくら倒壊した家屋がシロアリ被害にあっていてもそれが致命的原因だったかどうかは分からないのです。同じ敷地に同じ構造、同じ築年数の家が2軒ならんでいて、片方がシロアリの被害にあっていて、もう片方がそうでなく、倒壊したのがシロアリに食べられていた方でしたとすれば幾分信憑性が高いです。ですがそれでも家屋内の重量(荷物の多さ)が影響するので参考程度です。当社のHP内でも紹介していますが建築研究所が以前、市営住宅を使った倒壊調査をおこなっていますが、シロアリの食害の有無は結果に大きく関係しなかったそうです。ホームページはこちら。
 しかし、まったく影響しないということはありません。例えば筋交いを固定している箇所がシロアリの被害にあってしまえば筋交いは役割を果たしませんし、柱が食べられれば耐力壁がなくなります。しかし、根太や床束の一本程度が食べられたとしても家屋の耐震性にはほとんど影響しません。影響したら欠陥住宅のようなものです。
 ですから、シロアリの食害にはあってまずいところがあり、許容される部分もあるということです。シロアリがいたからと言ってお施主さんを必要以上にあおる業者がいますが、実際にはそれほど緊急性が無い場合の方が多いです。もしそういったことがあったら落ち着いて業者さんを変えてみましょう。
 記事の中で、「羽アリが飛ぶようになったら危ない」とありますが、これも必ずしもそうでない場合もあります。
ただ、自分でやるにしろ業者に頼むにしろ点検は家屋を長持ちさせるためにも重要ですのでおこないましょう。

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[15] フェロモンの正体解明 殺虫剤入れにせ卵で駆除 (毎日新聞  07年08月29日)
[ニュース概要]
 シロアリが卵を認識する化学物質、フェロモンの正体を、岡山大などの研究チームが突き止めた。人工的に合成したフェロモンを塗ったにせ卵のカプセルに殺虫剤を入れれば、効果的にシロアリを駆除できるという。29日付の米科学誌「プロスワン」に掲載される。シロアリは木の中に巣を作りすんでいる。巣の中心部にいる女王アリが産んだ卵は、働きアリが近くの「育室」に運び、毎日表面をなめることによって乾燥や病気から守る。目が見えないため、働きアリは卵の形や大きさ、「卵認識フェロモン」によって卵を見分け、運搬、保護しているが、正体は分からなかった。
 研究チームはシロアリの卵の抽出物からフェロモンの分離に成功。分析の結果、細菌を溶かして殺す作用のあるたんぱく質「リゾチーム」であることを突き止めた。リゾチームは昆虫やヒト、ほ乳類が広く持つ抗菌物質で、消化酵素としても知られる。女王アリの卵巣内で生成されるほか、シロアリの唾液(だえき)からも分泌されていることが分かり、働きアリが卵をなめることにより病原菌から守られていた。
 このフェロモンを人工的につくりガラス製のにせ卵に塗ると、シロアリはにせ卵を育室に運び込んだ。
 チームの松浦健二同大助教は「外から殺虫剤をまいてシロアリの巣がある木の中まで浸透させる現在の駆除方法は、大量の薬剤が必要だ。シロアリの巣内に殺虫剤を入れたにせ卵を置けば、働きアリが女王のいる中心部に運ぶので、より効率的にシロアリを駆除できるだろう」と話している。

[15] コメント  2007-09-23 
 面白いですね。同大助教授松浦先生の論文によるとシロアリの卵に似せた菌核を作ってシロアリに世話をさせるという菌類もいるとか。まったくうまいことやっています。
さて仮にこのシロアリの生態を利用した薬剤が開発されたとします。一般の方でしたらなんて画期的な!と思うのが普通だと思います。私も他の薬剤とは異なる性質持っているので武器が一つ増えて助かります。しかし、一般の方々がこの研究開発の恩恵を受けることが出来るかどうかは正直疑問です。現在、どんな性質の薬剤であろうと坪当たり何リットルかの薬剤を散布するというのがシロアリ対策が主流です。この新しく開発されるであろ薬剤はその性質上、おそらく大量に使用しなくても効力を十分に発揮できるはずです。にもかかわらず、一義的に坪何リットルという使い方をするのであれば、せっかくいい研究がなされ、画期的な薬剤が開発されてもなんの意味もなくなってしまいそうで心配です。
現存する薬剤でも、わずかな量でシロアリを駆除することができます。しかしこれは使用する薬剤うんぬんの問題ではなく、シロアリの生態や薬剤の性質、環境などを多面的に考え、対策を決めるシロアリ技術者の問題です。どんなにいい薬剤が開発されても使用方法が変わらず、シロアリ対策が一辺倒では、なんの進歩もないような気がします。

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[14] テラピアから殺虫剤 本島内シロアリ駆除で残留 (琉球新報  07年7月8日10時38分)
[ニュース概要]
  過去にシロアリ駆除などの殺虫剤として使用され、現在は使用が禁止されている化学物質クロルデンが沖縄本島のテラピアやボラから検出され、近年の国内報告で突出して最高値であることが、愛媛大学と琉球大学の共同調査で分かった。検出濃度は1グラム当たりテラピアが0・019マイクログラム、ボラは0・014マイクログラム。体重60キロの人間が生涯で日本人平均の魚介類を摂取した場合、人体に影響を及ぼす許容摂取量1グラム当たり0・027マイクログラムの基準値に迫っている。県内では過去にシロアリ駆除でクロルデンが大量に使用されており、今回の調査でクロルデンが現在も水辺などに残留している現状が浮かび上がった。
 [中略]
 高橋氏は「シロアリは南国で発生しやすい。沖縄では過去に住宅地で大量にクロルデンを使っていた。それが水辺の生態系などに残留・蓄積されていると考えられる」と指摘した。

[14] コメント  2007-07-10 
 クロルデンは有機塩素系の殺虫剤で、1986年、化審法により第一種特定化学物質に指定されてから製造も販売も禁止されました。クロルデンは難分解(自然界に分解せずいつまでも残る)で高濃縮性が高い(食物連鎖を通じて、生物の体内に蓄積されていく)薬剤です。なぜ、こういう危険なものがシロアリ用として住宅に大量に使われたか実際のところはわかりませんが、基本的には「難分解」であるため、シロアリに対していつまでも効力が持続します。また、シロアリ業者さんは「保証書」というものを出すことが多いですから、効果が持続してもらわないと困るわけです。こういうことが背景にあったのだと思います。
 クロルデンがシロアリ用として使用できなくなった後、変わって主流になったのが有機リン系のクロルピリホスです。クロルピリホスは殺虫能力は高いのですが、クロルデンのように効力は持続しません。しかし、シロアリの防除方法はクロルデンのときと同じ方法でしたらから、「保証書」を出す以上、シロアリ業者さんとしては効力が持続してもらわないと困ったわけです。それでどうするかというと、もう大量散布に頼るしかなくなりました。おそらく使用者は効力が持続しないということは分かっていたでしょうから、クロルデンと同じように持たせようと必要量以上に散布してしまったのではないでしょうか。そのあとどうなったかというと、シックハウスの問題が発生し、2000年に厚生労働省がクロルピリホスの室内濃度指針値を策定、しかしぜんぜん減らないので2003年建築基準法を改正して使用を禁止しました。
  シロアリ相手に一体全体何をやっているのでしょう、人はこうも学習能力がないものかとがっかりしてしまします。「この世に毒物でないものは存在しない。毒になるかどうかはその使用する量による」と誰かが言っていましたが、薬剤の種類が異なっても同じ方法、同じ量を使用するのであればどこかに無理が生じてくるのは当然のことです。これは書こうか書かないかか迷ったことですが、これだけ技術が発展した現在でもシロアリの防除方法はクロルデン時代とほとんど変わっていないのです。
 シロアリは確かに家屋に被害を与えます。しかし、人の寿命や健康に害を与えることはまずありません。健康を害すくらいなら家屋がシロアリに食べられていたほうがよっぽどましです。もう何度も薬剤では失敗しているのですからこのあたりで賢く薬剤を使用し、シロアリを撲滅する考えではなく上手に付き合う考え方に変えたほうがいいのではないでしょうか・・・。

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[13] 特定商取引法の罰則規定を大幅強化 悪質、後絶たず (FujiSankei Business i. 07年6月4日)
[ニュース概要]
 経済産業省は3日、悪質な訪問販売や電話による強引な勧誘などを規制する特定商取引法の罰則規定を、現行の最高「懲役2年以下」から「5年以下」へと大幅に引き上げる方針を固めた。
[中略]
特定商取引法は、訪問販売法が平成12年に改正されてできた。訪問販売法の規制対象は訪問販売と通信販売、連鎖販売(マルチ商法)の3種類の商取引に限られていたが、特商法では手口の巧妙化に対応するため電話による勧誘なども規制対象とし、罰則規定の最高刑もそれまでの懲役1年以下から2年以下へと引き上げられた。

 しかし、全国の消費生活センターなどに寄せられる相談件数はその後も増加し、16年度には150万件を超えた。これを受け、経産省は特商法に基づく行政処分を強化。18年度には42件の業務改善指示に加え、26件の業務停止命令を出した。最近では、「シロアリに食われている」などと偽って防除工事を行うよう勧誘した害虫駆除業「サニックス」に対する業務停止命令や、英会話スクール最大手「NOVA」に精算金トラブルを理由とした立ち入り検査を行った例などがある。

[13] コメント  2007-06-04 
 だそうです。

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[12] シロアリに強風で電柱倒れる 乗用車直撃 愛知・東海市(asahi.com 07年02月15日21時11分)
[ニュース概要]
 15日午後3時ごろ、愛知県東海市新宝町の県道交差点付近で、中央分離帯に立っていた木製の電柱2本が根元から突然倒れ、信号待ちをしていた同市内の男性会社員(61)の乗用車の後部を直撃し、窓ガラスが割れた。けが人はなかった。
 東海署と中部電力名古屋支店によると、電柱は長さ約10メートル、太さ約30センチで、1本の重さは約500キロ。根元がシロアリに食い荒らされていた。名古屋地方気象台によると、東海市内では前夜から最大9メートルの西寄りの強風が吹き続けており、同支店は「シロアリで強度が落ちていたところに強風が吹き、倒れたようだ」としている。2本のうち1本は25年前に建てられたという。

[12] コメント  2007-02-18 
 怪我をされなくて良かったです。
さて、シロアリは木を食べます。土壌に木を打ち込めばシロアリにとってそれは枯れ木と同じ、分解すべき対象でしかありません。ですから別にシロアリは悪くないです。むしろそれを知らないヒトの方に問題があり、この事故は人災のような気がするんですがいかがでしょうか・・・。ところで壊れた車に対しては保険はおりるんでしょうかね。

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[11] 環境省 報道発表 「自治体における街路樹、公園緑地等での防除実態調査」の結果について (環境省報道発表資料 2007/01/31)
[ニュース概要]
 環境省では農薬の飛散リスクを評価・管理するための手法を確立するため、平成17年度より「農薬飛散リスク評価手法等確立調査」を行っています。その一環として、平成17年度に地方公共団体の御協力を得て実施した街路樹、公園等での防除実態の把握を目的とするアンケート調査の結果をとりまとめましたのでお知らせします。
 その結果、多くの自治体で、適切な病害虫防除及び農薬使用がなされている実態が明らかとなる一方、一部の地方公共団体においては、病害虫の発生状況に関わらず定期的に農薬を散布している事例、散布対象範囲を最小限の区域に留めていない事例、これまでに知見のない農薬の現地混用を実施した事例が見受けられたところです。
 このため、適切な方法による防除の徹底を図るため、環境省水・大気環境局長及び農林水産省消費・安全局長の連名による指導通知を本日付けで発出しました。

[11] コメント  2007-02-06 
 この資料を見て驚いたんですが、「病害虫の発生状況に関わらず定期的に農薬を散布している自治体がある」そうです。こういうことをしているから健康悪化のリスクが高まるんだと思います。健康を損ねるくらいなら虫がいたほうがよっぽどましだと思うんですが・・・。指導通知の中に以下のコメントがあります。
「農薬使用者等は、病害虫やそれによる被害の発生の早期発見に努め、病害虫の発生や被害の有無に関わらず定期的に農薬を散布するのではなく、病害虫の状況に応じた適切な防除を行うこと。」
このことはシロアリ対策でも同じことだと思います。上の文章で「病害虫」を「シロアリ」に置き換えて読んでみてください。
「シロアリ業者は、シロアリやそれによる家屋被害の早期発見に努め、シロアリの発生や被害の有無に関わらず5年をめどにシロアリ予防工事をするのではなく、シロアリの状況に応じた適切な防除を行うこと。」
そして「適切な防除」を行うにはマニュアルどおりの薬剤散布ではなく、知識と経験を積んで技術と判断力を向上させていくことがなにより大事なんだと思います。

環境省報道発表資料 

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[10] セルロース活用始まる(日本経済新聞2007/02/02)
[ニュース概要]
 バイオ燃料として注目されるエタノールの開発で木くずや草の主成分でこれまで未使用だったセルロースを有効活用する技術開発が進んでいる。[中略]
RITE(財団法人地球環境産業技術研究機構)とホンダ技術研究所は稲ワラのセルロースとヘミセルロースを酵素で効率よく分解、糖を発酵してエタノールを作る技術を確立した。
云々・・・。

[10] コメント  2007-02-03 
 セルロースは以前から注目されている物質で地球上で鉱物を除くと最も多く存在する物質です。セルロースは細胞壁を形成する物質でブドウ糖が主な主成分です。ブトウ糖と言えばよく点滴で使われるあれのことです。ではなぜ今までセルロースを利用できなかったかというとそれを分解し、糖にすることが難しかったためです。今回セルロースを分解する酵素(セルラーゼ)を利用しているというのはかなり高度な技術かと思われますが、シロアリは3億年も前にセルロースを食料として利用しています・・・。こちらで少し説明しています。

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