危険な薬剤の安全性? そのB |
4.蒸気圧と温度 |
「ホルムアルデヒド」は建材や家具などの接着剤として使われる化学物質です。最近はその危険性から使用がかなり制限されています。ホルムアルデヒドがなぜ危険かというと ・蒸気圧が高い ・毒性が強い ・比重が空気より軽い などがあげられます。ホルムアルデヒドの蒸気圧は ホルムアルデヒド 蒸気圧 : 5185hpa 25℃ です。なんと、25℃ではとうの昔に大気圧を上回ってしまっています。ホルムアルデヒドは通常の生活環境で蒸発し放題という物質なのです。では沸点はいくらかというと ホルムアルデヒド 蒸気圧 : 1013hpa 19.5℃ わずか20℃前後の温度で蒸発をし始めてしまうという、なんとも危険な物質です。なんでこんな物質の使用が認められたのか不思議でしょうがありません。話がずれるかもしれませんが「アスベスト」にしたってあんな危険な物質であるとわかってて使用が認められていたのですから何かがおかしいような気がします。 さて蒸気圧という言葉にはだいぶ慣れていただけたと思うのですが、蒸気圧が高い、低いという意味はまだちょっとピンと来ないかもしれません。蒸気圧の高い低いで重要なのがそのときの温度です。通常物質は温度が低ければ蒸気圧は低いのでホルムアルデヒドにしても温度が低ければ蒸気圧も低いです。ですので ホルムアルデヒド 蒸気圧 : 13.3hpa と書かれていたとして、「大気圧よりだいぶ低いから安全だ」と思ってはいけません。 ホルムアルデヒド 蒸気圧 : 13.3hpa −88℃ −88℃での蒸気圧が低いのであって、通常の生活レベルではあり得ない温度での値です。ですから蒸気圧を確認する際には温度も確認しないと意味がないことがわかります。 何度の温度のときに蒸気圧はいくらなのか、これをグラフに表すことができます。一応名前もついていて蒸気圧曲線と呼ばれています。以下の図は水の蒸気圧曲線です。 「グラフを見るのが苦手で・・・」という方もそうでない方もこのグラフで重要なのは温度が上がると指数関数的に蒸気圧があがるということです。要は温度が1℃上がると蒸気圧は50も100hpaも上昇してしまうのです。これは私の要望なのですが化学物質の安全データシートにこの蒸気圧曲線が記載されることを強く望みます。単独温度の蒸気圧が表示されるよりもはるかにわかりやすいです。次項では当社でも使用しているシロアリ用薬剤のビフェントリンの蒸気圧曲線を書いてみようと思います。 |
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