シロアリ点検を自分でやってみよう! |
注意! 家屋のシロアリ駆除を一般の方が自身で行なってはいけません!危険です! |
シロアリの駆除をご自分でやろうとお考えになるお気持ちもわかります。「業者が信用できない」、「費用がかかる」など様々な理由があると思いますが床下にもぐって薬剤を使用するのは危険です。 うまくいったような事例もありますが、それはたまたまであって幸いにして事故がおこらなかった事例か、もしくはシロアリがもともといない(放棄した)ところを処理したものと思われます。 業者に依頼すると問題のないところまで処理されたり、ちゃんとやってくれるのか心配だったりすることもあると思いますが、自分でおこなうのは床下の状況確認までにして、あとは信用できるシロアリのプロに任せてください。もし何か不明な点などございましたら遠慮なくご相談ください。 |
シロアリ点検の必要性 |
近年、シロアリ業界では悪質な手口の業者が問題になっています。無料点検と称して床下にもぐり、あることないことごたくを並べ、家主の不安をあおって不必要な工事契約を結んでしまうなど、その営業方法は脅し商売といっても過言ではないでしょう。 そのひとつの原因として床下という通常は目にすることのない空間を業者が点検することにあると思います。お客さんが見ることがなければなんとでも言えるという状況で、シロアリがいなくてもいたといえるし、いてもいないといえてしまうわけです。 本来、床下を点検するということは家屋の寿命や環境を確認する上で非常に重要な項目です。それが一部の業者のために床下点検自体が本来のニュアンスから、悪質業者の入り口というニュアンスに一般の方のイメージが変わりつつあります。 こういった状況なので、どんな良い事を言っても業者は信用できないという一般の方の気持ちは当然です。しかし、床下の点検自体は必要です。業者は信用できない、床下点検は必要という状況下で考えるのは「自分でできないかな」ということです。床下点検は健康な方であれば可能です。このページではその点検方法や見るべきポイントを簡単にご説明いたします。 |
なぜ自分で駆除すると危険なのかは以下のページを参考にしてください。 危険な薬剤の安全性? 当社で有料点検を行うとき1万円〜2万円ですので、その分の節約にもなります。 |
1.準備するもの |
まず床下の入り口を確認しましょう。一番容易なのが台所などにある床下収納庫です。それがなければ和室の畳を上げ、床板をはがして入り口を作ります。 床下にもぐる際の準備物 ・懐中電灯またはヘッドライト ・マイナスドライバーもしくは釘抜きなど(木などをつっつくため) ・汚れてもいい服装 ・軍手 ・マスク ・帽子もしくはほっかむり 私の場合は上記のものの他、デジカメ、温湿度計、鏡、含水率計、場合によってシロアリ探知機です。 ![]() シロアリ探知機(ターマトラック)は木材の内部やタイルの内側など、内部で動くシロアリを見つけてくれる装置です。シロアリなど内部に動くものがいるとインジケータが反応してくれます。超便利! ![]() 鏡は反対側が見られないときちょっとした隙間を利用して見ることができます。この写真の鏡には反対側に構築された蟻道が写っています。表には蟻道がなかったんですが鏡がなければ見逃すところでした。 |
床下を確認してみて、その高さが低かった場合はもぐることをあきらめましょう。出られなくなります。 私自身も鏡の使用は著名なシロアリ技術者に教わりました。 |
2.もぐってみよう |
もぐるときには一人でやってはいけません。必ず入り口付近にどなたかいてもらって、有事の際には助けてもらいましょう。 床下という狭い空間を移動するので、通常の気持ちよりもいくらかテンションがあがります。このテンションは下げなければなりません。意識的に動作をゆっくりと行ない、少しずつ少しずつ前進します。 部屋から部屋へ移動するとき、床下では換気口をくぐることが多いです。この換気口が大きいときは問題ないですが小さくて通れないときは、その部屋に行くのをあきらめるか、別の方向から入ることを考えます。 床下の移動は結構疲れます。ちょっと疲れたなぁと思ったら、外とつながっている換気口付近や、座れる程度の高さがある場所で休みましょう。 |
狭い換気口のとき、ぎりぎりいけそうというときには、抜けなくなる可能性もあるので無理はしないようにしましょう。どうしてもというときは、息を大きく吐いた状態で通るといいです。 |
3.点検する箇所 |
床下にもぐって最初に分かるのが床下の湿気具合です。地面が土であれば湿っているか乾いているかは一目瞭然のはずです。別に湿っていてもかまいませんが、付近の木材を確認してカビや腐朽菌といったものが木材についていないか見ておきましょう。また、家屋で押入れがカビ臭いとかきしむ箇所がある場合はその地面の湿気具合を確認すると良いと思います。 次にシロアリの点検方法ですが、一番簡単なのが蟻道を探すことです。シロアリは飛びついたりしないのでほとんど木部と地面とつながりを持っています。そのつながりの役割を果たすのが蟻道です。蟻道は基礎や束石にそって伸びますのでその辺を重点的に確認します。 |
![]() 蟻道を造る場所で多いのが基礎の角です。シロアリにとって角というのは蟻道が造りやすいのでしょう。 ![]() このくらいのレベルを見つけたら点検はもう止めて業者に連絡しましょう。 |
4.蟻道を見つけたら |
蟻道を見つけたら今度はシロアリが生息しているのかどうかを確認しなければなりません。ヤマトシロアリの場合、特定の巣を持たず、エサを探しながら活動しているので蟻道があったからといってシロアリが生息しているとは限りません。すでにその場所が放棄されている可能性もあります。また、気温が低いと(ヤマトシロアリの場合は約6℃以下)ほとんど蟻道の往来はなくなりますので、冬に点検するとシロアリの生息確認は難しいです。 蟻道の確認を行なうときはまず、蟻道をマイナスドライバーか何かで少しだけ壊します。壊したところの上下をじっと見ていると、シロアリが生息している場合、職蟻もしくは兵蟻が顔を出します。すぐに逃げてしまうのでなるべく衝撃を与えないようにしましょう。 注意!蟻道はすべて壊さないでください。のちの業者がシロアリの生息や被害範囲を判断できなくなります。 次に蟻道付近を木部をドライバーなどでつついて見ます。ハンマーなどで軽く叩いてもいいです。そのとき、木材がふかふかだったり、空洞だったりした場合はシロアリ君の仕業の可能性が高いです。さらにその近辺を確認して不自然に土が盛り上がっていたり、木についていたりした場合はそれもシロアリ君の仕業です。 近くに蟻道の形跡がないのに木部だけが弱っているようでしたら、腐朽菌(キノコ類)による仕業の可能性もあります。木がすかすかになっていた場合、基本的にヤマトシロアリの場合は蟻土と呼ばれる土が木材内部に持ち込まれています。それに対して腐朽菌の場合はその土がないので見分けることができます。(同時という場合もありうる) 床下のほかのところにも蟻道があったときは上記と同じように対応します。 ![]() 地面に落ちてる木片やダンボールなどのゴミは拾いましょう。大抵シロアリのエサになります。 |
![]() 上の写真のように基礎に覆いとなるものがあると蟻道なしでシロアリは木材に到達することができます。私からするとこんなのはシロアリを誘導しているとしか思えない、欠陥住宅です。ちなみにこれをとったらシロアリが3列縦隊で行き来してました。 |
5.点検後 |
点検後、シロアリがいなかったら別に何もする必要はありませんが、シロアリが生息していた場合や蟻道を見つけた場合にはなんらかの対策を施したほうがいいでしょう。 蟻道だけ見つけただけで、シロアリがいなかったという自信があるのであれば、木材の被害状況を思い出し交換が必要かどうか判断します。大工さんに相談してもいいと思います。交換したときはシロアリの予防を行いましょう。今までシロアリがいなかったのに新しい木材になるとすぐに蟻道を伸ばすということが多いです。床下環境の変化、木材のセルロースの量などが影響しているのではないかと考えています。 シロアリが生息していた場合、これはなにかまじめに対策しないと家屋の重要な部分が食害されてしまう可能性があります。自分で何とかしたいとお考えの方もいらっしゃると思いますが、安全面から考えて絶対にお勧めできません。危険でもいいからやりたいというかたは、どこかの業者さんで自分でできるシロアリ駆除みたいなことを書いてあるサイトがありますので、そちらの方に責任を転嫁します。 やっぱりシロアリが見つかった時には業者さんに任せるのが一番だと思います。 |
![]() こんな立派な蟻道を造っていてもヤマトシロアリは容易に餌場を放棄する。 参考ページ 危険な薬剤の安全性? |
6.注意事項 |
床下点検を自分で行なう際の注意事項をまとめましたので確認してください。 1.床下が狭いと感じたら絶対に無理はしない 2.一人でやらない 3.床下にもぐっている最中にどんな事象が起きても絶対にパニックにならない 4.スローペース・冷静を心がける 5.蟻道はすべて壊さない(のちの業者がそれを元に判断できなくなるため) 6.真夏の暑い時間帯は避ける 7.寒いときの点検ではシロアリの生息の有無は確認できないことが多い 8.東北北海道でイエシロアリを見つけたら学会に報告する 9.二日酔いのときは避ける 10.床下にはシロアリ以外の昆虫も生息していることを覚悟する。それらはいても害にはならない。 11.床下から出れなくなったら消防署に連絡して救助してもらう 12.健康に自信がなければもぐらない 13.すべては自己責任 床下にもぐるのは慣れると楽しいですが、それでもやはり体力は消耗します。終わってからの水分補給は十分に行いましょう。 |