当社のシロアリ対策と駆除方法

 主に東北で活動する当社のターゲットとなるシロアリはヤマトシロアリです。ヤマトシロアリはイエシロアリに比べ被害の程度も小さく、進行も遅いという特徴があります。ヤマトシロアリの被害だけを見ると確かにシロアリは怖いと思うかもしれませんが、実はイエシロアリのものと比較するとそれほど甚大にならないのがほとんどです。ですが、現在主流のシロアリ防除にはその区別がなく、単純に大量の薬剤を散布したり、埋め込んだりするだけになっています。ましてや最近の家屋は構造が多種多様になっており、安易に薬剤を散布するだけではシロアリを駆除できない場合もありますから注意が必要です。


  1.当社のシロアリ対策の基本は「駆除」
 当社では「駆除」(予防でなく)を対策の基本にしています。家屋や床下を点検してシロアリの被害があった場合、そのシロアリをどうすればちゃんと駆除できるかを考えます。ターゲットがしっかり決まっていますから、使用する薬剤の量はわずかで済みます。しかし、「予防」まで考えるとターゲットがどこにいるのか、どこからくるのかわかりませんから薬剤を家屋全体に大量に使用してしまうことになります。さらに「保証」をつけるとなると、業者さんの心理的には必要以上に薬剤を散布してしまうことになるでしょう。
 当社ではほとんど「駆除」だけで済ませるようにしています。例えば、築2、30年経過した家屋で被害が玄関と浴室だけというのであれば、そこのシロアリだけを駆除し、他の部屋は今までシロアリの被害がなかった実績があるのですから予防の必要はないという判断をします。必要な場合は時々点検するようにします。ヤマトシロアリの場合、1,2年で致命的な被害を与えるほど食害の進行は早くないのでこういった対策が十分にとれます。
 ですから当社では点検してシロアリの被害がないのであれば基本的に「何もしない」ということになります。
  玄関上がり框の被害
 このお宅では玄関の上がり框がシロアリの被害にあっていました。確かに被害を被ってはいますが築20年以上経過して被害の箇所はここだけ。だったらここのシロアリさえきちんと駆除すれば他のところは何もしないという判断をしました。

  2.駆除の方法
 駆除は如何にしてシロアリがいるところに薬剤をとどけるかが勝負になります。これはシロアリの種類に関わらず基本になることです。最近はアメリカカンザイシロアリという超分散的なシロアリの被害が拡大していますが、このシロアリであってもこの基本は変わりません。むしろこの基本ができないとこのシロアリは駆除できません。
 となるとどこにシロアリがいるのか、どうやったらそこに薬剤を届けられるのか、届けるのはどういった種類の薬剤がいいのかなどの調査や技術、知識、道具が非常に大切になってくることがわかります。優秀なシロアリ技術者の方々は間違いなくここのところが優れています。さらに最近は家屋の構造が多種多様になってきていますから、それらの知識すらも身につける努力をしないと、でたらめなところに薬剤を使用してしまうことになります。
 施工する前のこの調査点検、判断という段階で対策の良し悪しの8割は決まってしまうと思います。ですから調査点検という工程は非常に重要になってくることがわかります。
 
 現在主流となっている薬剤散布のシロアリ対策では、シロアリの被害があろうとなかろうと、シロアリがいようといなかろうと防除方法に変わりはありません。そうなると調査点検は実はどうでもいいことなってしまいます。業者さんがやってきて床下を点検もせずに家屋の広さだけ聞いて見積もりを出すというのはまさにこのことです。仮に床下にもぐって点検したとしてもシロアリがいたら家屋全体に薬剤を撒かないと効果がないとか、保証が出せないとか、いなければいないで家屋全体に薬剤を撒いて予防しましょうというのがせいぜいです。

上がり框をシロアリ探知機で調査
 シロアリがどこにいるのか探知機を使って確認。
  上がり框を泡状の薬剤で施工しているところ
上がり框だったら左右へ薬剤が広がる泡状の薬剤がいいと判断。シロアリが泡で押し出されてきたところ。

施工後のシロアリの死骸
数日後、確認すると中には大量の死骸があり、的確な場所に薬剤が届けられたことを確認。使用した薬剤の量は数百ccでした。


 これは他社がおこなった健全な木材への穿孔処理の跡。まったく意味がない処理でむしろ強度が低下します。さらに再施工(5年おきに処理する)の際、また穴を開けたらしく2箇所も同じところに穴が開いています。再施工を続けたら30年で5,6箇所は穴を開けられそうで、シロアリよりも被害が大きそうです。

 3.「様子をみる」というシロアリ対策
 あるお客さんからリフォームの工事中にたくさんのシロアリの被害が確認されたということでお伺いしました。大掛かりな工事でだいぶ解体されていたのですが浴室付近の柱が天井まで食害にあっており、一部梁まで進んでいました。床板も剥がされており、10本以上の蟻道が確認されました。しかし、シロアリそのものは逃げてしまったためかちょっとしか確認できず、どこにいるのかわかりませんでした。さらにお子さんがアトピーということで薬剤はなるべく使わないで欲しいということでした。それであれば様子を見ましょうということにしました。リフォームが出来上がってから定期的に点検してシロアリの活動を確認しながら駆除していきましょうということにし、点検口を設けてもらうことと、点検できなくなる箇所にのみ薬剤を使いました。
 これはヤマトシロアリだからこそできるシロアリ対策です。仮に出来上がってからすぐにシロアリが活動を始めても被害が大きくなる前に駆除できますし、この方がシロアリの活動が良く見えますから駆除は容易で、確かなものになります。この「様子を見る」というシロアリ対策は、被害はあるけどシロアリそのものが確認できない場合や、シロアリはいそうなんだけど確認するには家屋を一部壊さないといけない場合、駆除するには困難な場所でそれほど重要でない部材の場合などに有効です。「様子見る」というと何かほっとくというイメージがありますがそうではなく、シロアリと上手に付き合いながらおこなう立派なシロアリ対策なのです。
シロアリの被害
リフォームをおこなっているときにお伺いしたときには浴室の梁まで被害が広がっていました。しかしシロアリそのものは確認できず、このままでは少量の薬剤での対策は困難ですので様子を見ましょうということにしました。 その後定期的に点検していますがシロアリの活動は一切確認されていません。




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