リフォームとシロアリ

 リフォームした家屋とシロアリ駆除
 シロアリ駆除をする際にやっかないのが家屋をリフォームされた後にシロアリの被害にあってしまった場合です。床下が狭くなっていたり、タイルや板が貼り付けられて確認するのが困難になっていたり、コンクリートが流し込まれてどうしようもない状況になっていたりと、シロアリ屋泣かせの家屋になってしまうことが多いです。それでもなんとかするのがプロですけが、「こういう構造にしなければ被害にあわなかったのにな」とか「リフォームするときに呼んでもらえれば被害は防げたのにな」ということは多々あります。
 このページではリフォームする際のシロアリに対する注意事項を述べたいと思います。
 家屋のリフォーム(reform)は日本でのみ通じる言葉。通常英語で家屋を改装するはリモデル(remodel)。


  1.環境が変われば生態系も変わる
 「環境が変われば生態系も変わる」これは生態学者さんの中では常識中の常識です。地球上では大局的にしろ局所的にしろ生態系が存在します。要は生き物同士の関係です。自然界では食べたり食べられたり、生産したり分解したりと植物や生き物が有機的に結びついています。これは簡単に想像できますが、実は家屋の床下にも生態系は存在します。

 床下にもぐっている業者さんならわかると思いますが、床下にもさまざまな生き物が生息しています。その中でシロアリも他の生き物との関係を保ちながら家屋に被害を及ぼしたり、及ぼせなかったりしています。経験上、床下の生物に多様性があると(たくさんの種類の生き物が生息していると)家屋のシロアリの被害は少ないようです。考えてみれば当然で、非常に弱い生き物であるシロアリが活動するには天敵となる他の生き物はいないほうがいいのです。

 話をリフォームに戻します。よくリフォームする際に「家屋にシロアリの被害が見つからないからこれからもシロアリは付かないだろう」という方がいらっしゃいます。これは間違いです。リフォームで床下の環境を変えないのであればそう言えなくもありませんが(外からの侵入もありえるんですけど)、基本的にはリフォームした際には環境が変化するので生態系も変化するとお考えください。

 となると、今まで他の生き物によって活動が抑えられていたシロアリが活発に活動する可能性だってあり得ます。環境の変化は生き物にとって生きるか死ぬか、繁栄するか衰退するかの重大事件です。よって環境が変化すると生き物は活発に活動し、環境に適応しようとします。その中で、シロアリが適応するような状況になると家屋に被害が及びます。

カマドウマ
床下の代表的昆虫
「カマドウマ」
便所コオロギとか言ってた

途中で上るのを止めた蟻道
基礎立ち上がりを途中まで行って放棄された蟻道。何らかの要因があって造るのをやめたんでしょう。


  2.リフォームのときにやってはいけないこと
 リフォームしてシロアリの被害にあわないようにするには、前述したようにシロアリが適応しやすい環境を造らないようにすることが大事です。シロアリが適応しやすい環境とは「密閉」です。すなわちむやみやたらとコンクリートなどで覆わないことです。シロアリにとってコンクリートは外敵から身を守り、保温保湿性に優れた高気密高断熱住宅のようなもので、まさに快適住宅です。
 
 とはいうものの、家屋の都合やカッコイイ家にするためにはどうしてもやらなくてはならないこともあると思います。そのときにはシロアリ屋に相談してください。少なくとも床下にもぐれなくなってしまうような構造ではシロアリだけでなくなんらか異常があった場合には対処することができなくなってしまいますので注意してください。
 法隆寺、薬師寺の棟梁をされた西岡常一先生はコンクリートを嫌いました。先生はコンクリートがシロアリの温床になることを知っていらっしゃったのです。


  3.高確率でシロアリがつく構造
 最後にこれではシロアリがつくだろう、というような構造をご紹介します。

 ◆木材をコンクリートで覆う
 ◆地面に直接、木を立てる
 ◆被害があった箇所の部材を交換するのみで、シロアリ対策を行なわなかった場合
 ◆お風呂場だった部屋をそのままの構造で、普通の居室にした場合


 床下にもぐってこういう状況ですと、私からすれば欠陥工事にすら思えてきます。リフォーム工事をする前にはぜひシロアリやその後のメンテナンスなどのことも考慮してください。
コンクリートで覆われてしまった床束
このように安易にコンクリートで床束を覆ってしまうことはシロアリの侵入を容易にしてしまい、発見がおくれる。


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